パパラギ横浜店 ブログ

広報部撮影手帳

見る人が決めれば良いこと

 

からりと晴れた空には北風が出番を待っていたかのように好き放題吹きまくっています。
緑臭さがすっかりなくなり、静けさが増したような。いや、ただ人気が少ないだけなのか。
もうすぐ冬なんですなあ。

沖合に白波跳ねるここは千葉県の伊戸。
水中写真家の鍵井靖章さん出演のドキュメンタルバラエティ“この旅路はとても正気の沙汰とは思えない”(仮題)の水中シーンの撮影の依頼が我らが石橋インストラクターのもとに舞い込みました。

伊戸といえばピンとくる方も多いのではないでしょうか?
あの「シャークスクランブル」に挑む鍵井さんを撮影してほしいとのこと。

私めもバックアップとして帯同させていただきました。
オクトパスみたいなものですね。黄色ではないけど。

 

「うちはエンターテイメントだから」

伊戸は餌付けで集めたドチザメやアカエイが潜降直後から大挙としてうごめくダイバーに人気のポイント。
そもそもは定位置網漁の網にサメが入り、網の中の魚を食べたり傷つけてしまうことがあったそう。
そこで餌付けでサメたちを誘導し、漁の損害を避けダイバーにも楽しんでもらえる手段をとっているという訳です。

“餌付け”は賛否両論あります。
ちなみにパパラギダイビングスクールは“餌付け”が当たり前だった当時、餌付けをよしとしない姿勢を真っ先に見せた普通じゃないダイビングスクールでもあります。
そんな訳かスタッフの間でも餌付けに対してはネガティブな人が多い気がします。

意外にもガイドの塩田さんも餌付け反対派。
サメとエイに餌に間違えられ?もみくちゃにされながらも愛でる姿が印象的でしたが、「うちはエンターテイメントだから」と割り切って話す。ここに至るまでに色々あったのんだろうなあなんて感じてしまいます。

鍵井さんも言う。
世の中に出回るサメの写真なんてほとんどが餌付けされているもの。
賛否はあってもどこかの誰かのきっかけになればいいと。
「こういう海はスパイスになるやん!」

両者の言葉には深みがありました。

「うわーっ、すげー!」

程なくして、番組スタッフがやってきました。
挨拶を済ませると話は水中撮影の打ち合わせに。そして早速石橋さんと話が噛み合っていない笑
この海の表情をどう見せようかという潜水屋と
どんな構成にしたら面白いかと言うテレビマンと
それを見て笑いを噛み殺す鍵井さんと。

両者着地点が見えないまま一本目に突入。
激流でした。
ロープ掴んでないと進めないほど。完全に油断していたオクトパスこと薮崎は鍵井さんのENシーンを撮り逃す失態。
水中も思うように行かぬままあっという間に終了。

渋い撮れ高でしたが、番組が求めるものに少しでも近づけるために動画のチェックをしてもらいます。
「うわーっ、すげー!」
番組スタッフから驚きの声が上がります。

そしてここから風向きが変わります。

番組スタッフからはこんなの撮れますか?これはできますか?と注文が活発に。
できるし、こっちの方が良くないですか?と提案する余裕の石橋さん。

「海に来りゃ誰が来たってこっちのフィールドに引きずり込める」

石橋さんの言った通りの展開に。
海上を吹き荒れる北風がおさまり、二本目はほとんど潮止まりで潮流も弱まる。
かくして午後は我々潜水屋の独壇場となったのでした。

見る人が決めれば良いこと

伊戸の海を様々な角度から紹介すべく集まった面々。
その思想、思惑はそれぞれあれど“形”にしなければ誰かのきっかけにもならない。
その誰かのきっかけを少しでも増やすべく、色々な要求に応える準備をしなければと思いました。

撮り手側の思想や思惑、いわばこだわりの部分は受け手側にはあまり意味を持たないのだとしたら、
とにかく“形”にして届けること。

あとは見る人が決めれば良いことなのかも知れません。

あなたはこの伊戸の海に何を感じますか?
鍵井さんは番組で何を語るのでしょうか?

乞うご期待です。

 

禁断の物欲斡旋コーナー

今回の広報部の撮影を支えたアイテムのご紹介

今回はGoProのアクセサリーを。
水中撮影をより簡単に楽しませてくれるAOIから。
http://www.fisheye-jp.com/index_aoi.html

簡単に動画撮影が楽しめる今日、その一翼を担うのがGoProです。
水中撮影においてはいわゆる自撮り棒が一般的でしたが、いかんせん嵩張る。
このコンパクトなグリップタイプは嵩張らないし持ちやすい。しかもワイドレンズがワンタッチで付け外しが可能。

GoProは元々超広角だからワイドレンズなんていらないよ!
と言うそこのあなた…
ワイドレンズの役割を画角の拡大だけと思う勿れ。さあ物欲の扉を開けませう。

GoProはそのハンドリングの良さから陸上から水中をシームレスに撮影することが可能です。
レフ機やミラーレスでそれをやるとホワイトバランスや露出・ピントが思い通りにいかなかったり、何より水面で重くて手ブレならぬ腕ブレです。上腕二頭筋から震えます。

今回なら鍵井さんのボートからのENシーン。
休み休み撮れれば良いものの、前述の通り午前中に撮り逃して肩身の狭い状況では休み休みなどとは言ってはいられない訳であります。

そんなとき!ワイドレンズの第二、第三のアドバンテージにどれだけ救われたことか。
・ワイドレンズのおかげで半水面で強い!
レンズの径が大きくなるので半水面が撮りやすいんです。揺れる水面に親指の爪を半分だけ出してキープするより、握った拳を半分だけ出す方が簡単ですよね!うん、びっくりするほど例えが下手ですね。がっかりです!

・ホワイトバランスが大人しくなる!
画角が広がることで太陽という最大の光源を画角に入れたまま撮影できる時間が長くなります。白の基準がずっと映り込んでいるのでホワイトバランスが深度変化とともに海の色につられておかしくなる事が防げます。

GoProユーザーの方にはおすすめの一品です。